結論から言ってしまえば、「猫の手も借りたい」なんて言う人は、よほどのヒマジンである。
「さて、と」と重い腰を上げようとすると、押入れでぬくぬくしていたはずのあいつやこいつがなぜかひざの上にのってくる。開いた資料の、それも今まさに読もうとした記事の上に、腹出してねっころがっており、手にした鉛筆のお尻に猫パンチを繰り出してはさらにケシゴムをかなたへと運び去る。
確かに冬場ふるえながらキーボードを叩いているときにひざの上に猫が上がってきてくれるのは、心身ともに温まってよいものだ。
ただ連中は「アームレスト」の意味を取り違えている。こちらの「アーム」を「レスト」にしてあごをのっけて実に気持ちよさそうにお休みになるのである。ただでさえ腱鞘炎になりそうなうえに、作業効率が低下すること甚だしい。
あわてて出かけようとするときに限ってもどしたり、おなかがゆるくてお尻にくっついたままのブツをそこらにこすり付けていたりなんてことがしょっちゅうである。
最悪なのが連中がおとなしいときである。そういう時はたいていこちらも煮詰まっていたりして、気がつくとネコジャラシを手にしていたり、毛皮の背中やおなかをなでていたりする。
時間はあっという間に過ぎてしまう。
猫の手だけは借りたくない。
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